総合型選抜の志望理由書を読んでいると、「大学については詳しく調べていることが伝わるのに、その人自身の考えが見えてこない文章」に出会うことがあります。
例えば、
「貴学は国際交流が盛んであり、幅広い視野を身につけられると感じました」
「少人数教育によって、学生一人ひとりに寄り添った学びができる点に魅力を感じています」
「実践的なカリキュラムを通して、多くのことを学びたいと考えています」
どれも、大学案内やオープンキャンパスでよく見かける言葉です。もちろん、内容が間違っているわけではありません。
ただ、こうした文章が続くと、読んでいる側には、「大学について説明している文章」のように見えてくることがあります。
なぜ、こういう文章になっていくのでしょうか。
理由は比較的シンプルで、「大学について調べること」に意識が向きすぎて、「自分がなぜそこに惹かれたのか」を深く考えないまま書き始めるからです。
総合型選抜では、「大学研究が大切」とよく言われます。そのため、高校生は一生懸命、大学について調べます。
パンフレットを読む。
ホームページを見る。
オープンキャンパスに参加する。
学部の特徴をメモする。
ここまでは、とても大切な準備です。問題は、そのあとです。多くの高校生は、「調べたこと」をそのまま志望理由書に書き始めます。
ただ、それだけでは、“大学の特徴”を書いているだけになりやすい。本来必要なのは、「なぜ、自分はそこに惹かれたのか」を深堀することです。
例えば、「国際交流が盛ん」という特徴に魅力を感じたとします。
ただ、その言葉だけでは、その人自身の興味は見えてきません。重要なのは、その先です。
なぜ国際交流に惹かれたのでしょうか。
海外文化への興味があるのか。
英語への苦手意識がきっかけだったのか。
地方で育った経験から、外の世界に関心を持ったのか。
あるいは、留学生と接した経験が印象に残っているのか。
そこまで掘っていくと、初めて「その人自身」が見え始めます。逆に、その部分を考えないまま書くと、文章はどうしても大学説明に寄っていきます。
総合型選抜では、「大学について詳しいこと」だけが評価されるわけではありません。大学側が知りたいのは、「なぜ、この人はこの大学に惹かれているのか」です。
例えば、同じオープンキャンパスに参加しても、
- 教授の話に好奇心をおぼえる人
- 学生の雰囲気が気になる人
- 研究内容に興味を持つ人
は、それぞれ違います。そこには、その人の価値観や問題意識が出ています。ただ、多くの高校生は、その“自分の反応”を飛ばしてしまいます。
その代わりに、「大学の魅力」を並べ始める。すると、「大学について詳しく書くこと」が、志望理由書を書くことのようになっていきます。
その結果、「この大学にはこんな特徴があります」という説明は増えていく。ただ、「なぜ自分がそこに惹かれたのか」は、逆に薄くなっていくことがあります。
志望理由書では、「大学研究をしていること」を示そうとするあまり、大学の特徴説明ばかりになることがあります。ただ、本当に大切なのは、「大学の情報量」ではありません。
例えば、「少人数教育に魅力を感じました」という文章を書くとしても、
なぜ少人数教育が気になったのか。
高校生活の中で、どんな経験があったのか。
どんな学び方を求めているのか。
そこまで掘ると、初めて“志望理由”になっていきます。
総合型選抜では、「大学について知っていること」より、「なぜそこに惹かれたのか」の方が重要です。志望理由書を書くとき、多くの高校生は、「大学の特徴」を探します。
ただ、その前に、「自分の心はなぜそこに反応したのだろう」と考える時間が必要なのかもしれません。その部分が見えてくると、志望理由書は少しずつ、「大学紹介」ではなく、「その人自身の文章」に変わっていくのだと思います。
